スピン回転結合

回転している物体が角運動量を持つことは力学で習います。 ミクロなスケールでは、電子は自転に相当するスピン角運動量と、原子の周りを周回運動することによって得る軌道角運動量を有しています。 物質内の電子のスピン角運動量の向き(イメージでいうと自転軸の向き)が揃うと、その物質は強磁性を発現します。

マクロなスケールでの物質の回転運動による角運動量と、ミクロなスケールでの電子の角運動量がお互いに相互作用することは古くから知られています。 例えば、物質内の電子のスピンの向きを同じ方向に揃えると、物質がそれに伴って回転すること現象は、発見した人たちの名前を取って「Einstein-de Haas」効果と呼ばれています。 逆に物質を回転させると電子のスピンの向きが揃う現象は「Barnett」効果として知られています。

物質の回転運動はマクロなスケールでの回転運動だけに限定されません。 例えば、物質の外から振動する電界を印加すると、原子の位置がローカルに回転運動するような格子振動を誘起することができます。 (原子が回転運動をするかどうかは、電界の空間分布と、電界を印加する物質に大きく依存します。) このような回転する格子振動は、電子のスピンと相互作用することが予想され、格子系と電子系(スピン系)の結合を利用した新たな量子システムを構築できるとして最近研究が活発化しています。