ニュース

2023

超薄膜層状物質におけるカイラルフォノン

ファンデルワールス層状物質の1つであるPtSe2において、円偏光の旋回性に依存するラマンスペクトルを観測した。また、厚みが数モノレイヤーのPtSe2では、旋回性に依存するラマン禁制モードが発現することがわかった。ラマン遷移の選択則から、角運動量を有するカイラルフォノンが励起されていることが示唆される。

Helicity-resolved Raman spectroscopy of mono- and a few-layers-thick PtSe2
I. Yasuda, T. Kawada, H. Matsumoto, M. Kawaguchi, M. Hayashi
Appl. Phys. Exp. 16, 053005 (2023).
2023年5月30日


螺旋構造をとる直方晶タングステンにおいて大きなスピンホール効果を予測

進化的アルゴリズムと第一原理電子状態計算を組み合わせた結晶構造探索手法により、大きなスピンホール効果を示す材料を調べた。その結果、螺旋構造をとる直方晶タングステンが最も大きいスピンホール効果を示すことを明らかにした。同様の効果がモリブデンやタンタルなど、他の重金属でも起きることがわかり、螺旋変形した構造が大きなスピンホール効果を誘起することがわかった。
*東大常行研、JSR株式会社との共同研究の成果。

Large intrinsic spin Hall conductivity in orthorhombic tungsten
T. Ishikawa, R. Akashi, K. Kubo, Y. Toga, K. Inukai, I. Rittaporn, M. Hayashi, S. Tsuneyuki
Phys. Rev. Mater. 7, 026202 (2023).
[Press release]
2023年2月15日

フェリ磁性体TbFeCo合金における電流駆動磁壁移動

フェリ磁性体TbFeCo合金において、電流で駆動した磁壁の移動方向が合金の組成で変化することを明らかにした。正味の磁化がゼロとなる磁化補償点組成より希土類元素(Tb)が多い場合、磁壁は電流と逆方向に移動するのに対し、少ない場合は電流と同じ方向に移動することがわかった。これらの結果は、TbFeCo合金に電流を印加すると、打ち消し合う2つ以上の駆動力が作用し、磁壁の移動速でを低下させていることを示唆している。
*東大中辻研、産総研、日大塚本研との共同研究の成果。

Reversal of current-induced domain wall motion in TbFeCo ferrimagnetic thin films across the magnetization compensation point M. Ishibashi, K. Yakushiji, M. Kawaguchi, A. Tsukamoto, S. Nakatsuji, M. Hayashi
Jpn. J. Appl. Phys. 62 013001 (2023).
2023年1月6日


2022年


松本さんと石橋さんが第2回TSQS国際会議で優秀ポスター賞を受賞しました!!

会議名: 2nd International Symposium on Trans-scale Quantum Science
講演題目(松本さん):Cavity magnetomechanics of surface acoustic waves with a synthetic antiferromagnet
講演題目(石橋さん):Error rate of a ferrimagnetic spin shift resist
受賞おめでとうございます!
2022年11月11日

松本さんが日本物理学会学生優秀発表賞を受賞しました!!

会議名: 日本物理学会 2022年秋季大会
講演題目:人工反強磁性体における表面弾性波フォノン-マグノン結合
受賞おめでとうございます!
2022年10月14日


松本さんが日本物理学会学生優秀発表賞を受賞しました!!

会議名: 日本物理学会 第77回年次大会(2022年)
講演題目:2次元フォノニックグラフェンにおける表面弾性波フォノンの伝導特性
受賞おめでとうございます!
2022年5月20日

ディラック電子系における「スピン流」

線形な分散関係を持つ電子はディラック電子と呼ばれ、グラフェンやビスマスなど特殊な物質の中に存在することが知られている。ビスマスにおけるスピンホール効果を調べたところ、ディラック電子系におけるスピン流はスピン角運動量の流れではなく、磁気モーメントの流れから構成されるものであることがわかった。スピン角運動量の流れは電子とホールで逆になり、ディラック電子系では消失する。一方、磁気モーメントの流れはキャリアの種類によらないため、スピン流形成に寄与する。ビスマスはその巨大なg因子によってキャリアが持つ磁気モーメントが非常に大きいため、大きなスピンホール伝導度を有することが明らかになった。
*東大小形研、東北大高梨研との共同研究の成果。

Spin Hall effect driven by the spin magnetic moment current in Dirac materials
Z. Chi, G. Qu, Y.-C. Lau, M. Kawaguchi, J. Fujimoto, K. Takanashi, M. Ogata, M. Hayashi
Phys. Rev. B 105, 214419 (2022).
2022年6月14日

人工反強磁性体において表面弾性波の大きな非相反伝導を観測

波の進む向きによって振幅が異なる現象を「非相反伝導」と呼ぶ。表面弾性波は物質中を伝搬する音波の1つで、速度数km/s程度で伝播する。人工反強磁体の中を伝播する表面弾性波を調べたところ、右と左に伝播する波の大きさが異なることがわかった。人工反強磁性体は非磁性薄膜を2つの強磁性薄膜で挟み、強磁性層の磁化が反平行となる構造を持っている。表面弾性波が人工反強磁体の中のスピン波と相互作用し、非相反伝導が誘起されていると考えられる。

Large surface acoustic wave nonreciprocity in synthetic antiferromagnets
H. Matsumoto, T. Kawada, M. Ishibashi, M. Kawaguchi, M. Hayashi
Appl. Phys. Express 15, 063003 (2022).
2022年5月25日

フェリ磁性体の磁化補償点

希土類元素であるTbと、3d遷移金属のFeとCoからなるTbFeCo合金は、Tb副格子とFe、Co副格子の磁化の向きが逆になっているフェリ磁性体である。マクロな磁化がゼロの反強磁性と異なり、フェリ磁性体は各副格子の磁化の大きさが同じでないため、正味の磁化が基本的にゼロではない。ただし、希土類と遷移金属の組成をうまく調整すると正味の磁化がゼロになり、その組成は磁化補償点と呼ばれている。
実験から、TbFeCoの磁化補償点はその膜厚、隣接層の材料に依存することがわかった。特に膜厚を1.5 nm程度にまで小さくすると正味の磁化がゼロとなる組成が存在しなくなり、副格子間の反強磁性的な結合が消失していることが予測される結果が得られた。膜厚が大きく磁化補償点が存在するフェリ磁性体においても、磁化補償点が隣接する物質に依存することから、界面での原子の拡散や電子構造が副格子間の反強磁性結合に寄与していることが考えられる。
*東大中辻研、産総研、日大塚本研との共同研究の成果。

Ferrimagnetic compensation and its thickness dependence in TbFeCo alloy thin films.
M. Ishibashi, K. Yakushiji, M. Kawaguchi, A. Tsukamoto, S. Nakatsuji, M. Hayashi
Appl. Phys. Lett. 120, 022405 (2022).
2022年1月11日


2021年

川田さんが日本物理学会学生優秀発表賞を受賞しました!!

会議名: 日本物理学会 2021年秋季大会
講演題目:物質依存性に基づく音響スピンホール効果の研究
受賞おめでとうございます!
2021年10月20日

Pt-Bi合金のスピン流生成効率

原子層厚のPtとBiを交互積層して作製したPt-Bi合金で大きなスピン流生成効率が得られることを見出した。スピン流生成効率はBi濃度とともに増加し、Biが90%程度の合金で効率を表すスピンホール角が0.3を超えた。この合金に極薄のCo層を積層したヘテロ構造において、Co層の磁化容易軸が面直方向を向き、かつ電流で磁化方向を制御できることがわかった。

Charge–spin conversion in Pt_{1-x}Bi_{x} alloys for spin–orbit torque switching
Z. Chi, Y.-C. Lau, M. Kawaguchi, M. Hayashi
APL Mater. 9, 061111 (2021).
2021年6月18日

半金属ヘテロ構造における偏光依存光起電流

半金属薄膜と金属薄膜からなるヘテロ構造に円偏光を照射し、円偏光の旋回性に依存する光起電流の成分「偏光依存光起電流」を調べた。ヘテロ構造では、偏光依存光起電流が半金属単層膜と比較して大きく増大することがわかった。半金属層の膜厚や光の入射角度に対して偏光依存光起電流を調査した結果、半金属/金属界面特有の電子状態(スピン吸収)が偏光依存光起電流増大に寄与していることがわかった。ディラック型の電子構造を持つとされる半金属における非線形光学効果は未解明な物理が多く、今後の展開に期待。
*東北大高梨研、ドイツのPeter Grünberg Instituteとの共同研究の成果。

Interface-enhanced helicity dependent photocurrent in metal/semimetal bilayers
H. Hirose, M. Kawaguchi, Y.-C. Lau, Z. Chi, F. Freimuth, K. Takanashi, M. Hayashi
Phys. Rev. B 103, 174437 (2021).
2021年5月28日

スピントロニクスTHzエミッターを使って、テラヘルツ縦電場生成に成功

強磁性金属と重金属からなる2層薄膜にフェムト秒レーザーを照射し、Siプリズムを使ってモード変換すると、ラジアル偏光、アジマス偏光したテラヘルツ波を外部磁場を使って選択的に生成できるを実証した。また、ラジアル偏光したテラヘルツ波を集光することで、テラヘルツ縦電場が得られることがわかった。スピントロニクスTHzエミッターを使ったテラヘルツ波偏光制御に大きく寄与する成果である。
*東大島野研との共同研究の成果。

Switchable generation of azimuthally-and radially-polarized terahertz beams from a spintronic terahertz emitter
H. Niwa, N. Yoshikawa, M. Kawaguchi, M. Hayashi, R. Shimano
Optics Express 29, 13331 (2021).
[Editors' pick]
2021年4月26日


人工知能を利用して磁石の磁気パラメータの推定に成功!

次世代情報デバイスへの応用が期待されている強磁性超薄膜の磁区画像一枚から、機械学習を利用して複数の磁気パラメータを推定することに成功した。機械学習には畳み込みニューラルネットワークを用い、教師データとなる磁区画像を作成するためにマイクロマグネティックシミュレーションを利用した。機械学習が推定した磁気パラメータは実験から計測された値と一致することがわかり、機械学習を用いた画像認識が、これまで困難であった材料の特性評価に対して極めて有効であることを示した。
*電通大仲谷研、豊田工大、岐阜大との共同研究の成果。

Determination of the Dzyaloshinskii-Moriya interaction using pattern recognition and machine learning
M. Kawaguchi, K. Tanabe, K. Yamada, T. Sawa, S. Hasegawa, M Hayashi, Y. Nakatani
npj Computational Materials 7, 1 (2021).
[プレスリリース]
2021年1月29日

異常ホール効果とスピンホール効果の関係

第一原理計算を用いて強磁性体における異常ホール効果とスピンホール効果の関係について調べた。異常ホール効果とスピンホール効果をそれぞれ決定するベリー位相とスピンベリー位相を計算した結果、逆格子空間においてスピンベリー位相の対称性がベリー位相と結晶構造の対称性より低いことがわかった。対称性の低下は、逆格子空間においてスピンの向きが反平行なバンドが交差する点が存在することが原因であり、異常ホール伝導度とスピンホール伝導度の単純な比例関係が成立しないことを意味する。
*三重大中村研との共同研究の成果。

First Principles Investigation of Anomalous Hall and Spin Hall Effects in Ferromagnetic CoPt
G. Qu, K. Nakamura, M. Hayashi
J. Phys. Soc. Jpn. 90, 024707 (2021).
2021年1月27日

原子の振動からスピンの流れを生む新しい機構の発見!

スピン軌道相互作用の大きな重金属中で発現するまったく新しい振動-スピン流変換機構の存在を明らかにした。重金属に表面弾性波と呼ばれる原子スケールの高速振動を伝搬させると、弾性波と直交する方向にスピン流が発生することがわかった。格子振動がスピン軌道相互作用を介して電子スピンと結合するという、新しい形の相互作用を示唆する結果である。原子振動・スピン・電気を橋渡しする今回の結果は、さまざまな物質における力学的運動やスピンの働きを探究する足がかりとなる。
*名古屋大河野研との共同研究の成果。

Acoustic spin Hall effect in strong spin-orbit metals
T. Kawada, M. Kawaguchi, T. Funato, H. Kohno, M. Hayashi
Science Advances 7, eabd9697 (2021).
[プレスリリース]
2021年1月6日


2020年

Bi薄膜からテラヘルツ波を観測

フェムト秒円偏光パルスをBi薄膜に照射したところ、超高速電流によるTHz波が発生することがわかった。 THz波発生はBi薄膜における光誘起スピンと逆スピンホール効果に起因するものと考えられる。 これらの結果は、ディラック電子を利用した簡易且つ、制御可能なTHz光源のポテンシャルを示すものである。
本論文はPhys. Rev. Appl.誌の「Editors' suggestion」に選出。
*東大島野研との共同研究の成果。

Terahertz Emission from Thin Films Induced by Excitation with Circularly Polarized Light
Y. Hirai, N. Yoshikawa, H. Hirose, M. Kawaguchi, M. Hayashi, R. Shimano
Phys. Rev. Appl. 14, 064015 (2020).
[Editors' suggestion]
2020年12月4日

強磁性体におけるスピンホール効果の理論計算

第一原理計算とモデル計算を使って、bcc-Feとfcc-Niのスピンホール伝導度を計算した。その結果、スピンホール伝導度は電子のスピンが磁化の向きと直交する時の方が平行の時より大きいことがわかった。強磁性におけるスピンホール効果を利用することで、スピン流の大きさを磁化(外部磁場)の向きで制御できることが期待される。
*三重大中村研との共同研究の成果。

G. Qu, K. Nakamura, M. Hayashi
Phys. Rev. B 102, 144440 (2020).
2020年10月27日

トポロジカル絶縁体上のW薄膜の超伝導特性

トポロジカル絶縁体((Bi,Sb)2Te3)上に成膜したW薄膜において、パウリリミットの2.5倍もの大きな臨界磁場を観測した。スピン軌道相互作用が大きい系におけるクーパー対の散乱機構解明に寄与する結果である。
*東大長谷川研、NIMS宇治グループとの共同研究の成果。

Concomitance of superconducting spin–orbit scattering length and normal state spin diffusion length in W on (Bi,Sb)2Te3
Y.-C. Lau, R. Akiyama, H. T. Hirose, R. Nakanishi, T. Terashima, S. Uji, S. Hasegawa, M. Hayashi
J. Phys. Mater. 3, 034001 (2020).
2020年4月30日

廣瀬さんと川田さんが理学系研究科奨励賞を受賞しました!

令和元年度理学系研究科奨励賞
受賞おめでとうございます!!
小野さんも受賞おめでとうございます!
2020年3月23日

ディラック電子が誘起する大きなスピンホール効果を観測

ディラック型のバンド構造を有するBiSb半金属において、スピンホール角が1を超える大きなスピンホール効果が発現することがわかった。温度や積層構造、組成や膜厚依存性などから、BiSb半金属におけるスピンホール効果がトポロジカル表面状態ではなく、バルク中のディラック電子に起因するものであることを見出した。これらの結果はディラック電子系が巨大なスピンホール移動度を持ち、スピン流源として大きなポテンシャルを有していることを示唆するものである。
*NIMS宝野・大久保グループとの共同研究の成果。

The spin Hall effect of Bi-Sb alloys driven by thermally excited Dirac-like electrons
Z. Chi, Y.-C. Lau, X. Xu, T. Ohkubo, K. Hono, M. Hayashi
Science Advances, 6, eaay2324 (2020).
2020年3月6日

人工反強磁性積層膜における巨大スピン軌道トルク

Co層間の磁気結合が反強磁性的であるPt/Co/Ir多層膜において、大きなスピン軌道トルクが発現することがわかった。Co層間の結合が強磁性的な場合と比較して、反強磁性結合膜では~15倍大きくなった。モデル計算の予想値をはるかに上回っており、その起源は未解明。
*産総研との共同研究の成果。

Highly efficient spin-orbit torque in Pt/Co/Ir multilayers with antiferromagnetic interlayer exchange coupling
Y. Ishikuro, M. Kawaguchi, T. Taniguchi, M. Hayashi
Phys. Rev. B 101, 014404 (2020).
2020年1月3日


2019年

川田さんが国際会議MMMの「Best student presentation award」の「Finalist」に選出されました!

会議名: Annual Conference on Magnetism and Magnetic Materials (MMM)
講演題目:Surface acoustic wave induced DC spin current in spin-orbit heterostructures.
受賞おめでとうございます!
2019年11月6日

反強磁性結合Ir/Co/Pt多層膜における巨大な垂直磁気異方性

Ir/Co/Pt多層膜では、Co層の層間結合がIr層の膜厚に依存して強磁性か反強磁性になる「振動性交換結合」が発現する。Co層の層間結合が反強磁性の時、多層膜の異方性磁界が10 Tを超える大きな垂直磁気異方性を持つことがわかった。
*東北大大野研、東大藤森研、Spring-8、産総研との共同研究の成果。

Giant perpendicular magnetic anisotropy in Ir/Co/Pt multilayers
Y.-C. Lau, Z. Chi, T. Taniguchi, M. Kawaguchi, G. Shibata, N. Kawamura, M. Suzuki, S. Fukami, A. Fujimori, H. Ohno, M. Hayashi
Phys. Rev. Mater. 3, 104419 (2019).
2019年10月25日

ジャロシンスキー守谷相互作用の電流制御

カイラル磁気構造の起源であるジャロシンスキー守谷型交換相互作用(DMI)のうち、強磁性/非磁性金属の界面で発現するDMIの大きさが電流で変調できることがわかった。電流の向きに関わらず、DMIは電流の増加とともに大きくなり、そのレートはスピンドップラー効果に基づく予測と概ね一致した。この結果は界面のDMIが平衡スピン流によって誘起されている可能性を示唆しており、DMIが外部制御できることを実証するものである。
*電通大仲谷研、京大との共同研究の成果。

Current induced modulation of interfacial Dzyaloshinskii-Moriya interaction
N. Kato, M. Kawaguchi, Y.-C. Lau, T. Kikuchi, Y. Nakatani, M. Hayashi
Phys. Rev. Lett. 122, 257205 (2019).
2019年6月28日

巨大な音響プレーナーホール効果を観測

強磁性薄膜にレイリー型の表面弾性波を印加したところ、巨大なプレーナーホール電圧が誘起されることを見出した。観測されたプレーナーホール電圧は表面弾性波の伝搬方向に依存しない一方向性のものであり、これまで明らかになっている電流磁気効果や熱磁気効果と対称性が異なる「音響磁気効果」が存在することが示唆される結果が得られた(発現機構の解明が今後の課題です)。

Unidirectional planar Hall voltages induced by surface acoustic waves in ferromagnetic thin films
T. Kawada, M. Kawaguchi, M. Hayashi
Phys. Rev. B 99, 184435 (2019).
2019年5月24日

Ir/Co界面のジャロシンスキー守谷相互作用とスピン軌道トルク

Ir/Co界面のジャロシンスキー守谷相互作用はPt/Co界面のそれとほぼ同等で、符号が同じであることがわかった。Irのスピンホール角は0.01程度と小さく、高い伝導率と合わせて、良いスピンシンクになることを明らかにした。

Dzyaloshinskii-Moriya interaction and spin-orbit torque at the Ir/Co interface
Y. Ishikuro, M. Kawaguchi, N. Kato, Y.-C. Lau, M. Hayashi
Phys. Rev. B 99, 134421 (2019).
2019年4月15日

軌道混成によるスピンホール効果を観測

スピン軌道相互作用が比較的小さいCoとGaからなる合金が、0.05程度のスピンホール角を有することが実験で明らかになった。第一原理計算等を行った結果、Coのd軌道とGaのp軌道の軌道混成が大きなスピンホール効果の発現に寄与していることがわかった。
*三重大中村研との共同研究の成果。

Spin Hall effect from 3d-4p hybridized orbitals
Y.-C. Lau, H. Lee, G. Qu, K. Nakamura, M. Hayashi
Phys. Rev. B 99, 064410 (2019).
2019年2月12日


2018年

廣瀬さんが応用物理学会「講演奨励賞」を受賞しました!

第79回応用物理学会秋季学術講演会での廣瀬さんの講演が第45回講演奨励賞に選ばれました。

講演題目:Material dependence of interfacial spin-momentum locked bands in metallic heterostructures.
おめでとうございます!
2018年11月15日

CPGE論文がAppl. Phys. Lett.誌のFeatured articleに選ばれました!

American Institute of PhysicsのScilightでも紹介されました。

Circular photogalvanic effect in Cu/Bi bilayers
H. Hirose, N. Ito, M. Kawaguchi, Y. C. Lau, M. Hayashi
Appl. Phys. Lett. 113, 222404 (2018).
2018年11月29日

円偏光が誘起する光電流を検出

Cu/Biからなる2層薄膜において、円偏光の旋回性に依存した光電流を検出した。光起電流は光の入射角に依存し、入射面と直交する方向で大きな信号が観測された一方、平行方向では観測されなかった。観測された光電流は、Cu/Bi界面にスピン・運動量結合バンドが存在することを示唆している。

Circular photogalvanic effect in Cu/Bi bilayers
H. Hirose, N. Ito, M. Kawaguchi, Y. C. Lau, M. Hayashi
Appl. Phys. Lett. 113, 222404 (2018).
2018年11月29日

光を使ってスピン軌道トルク測定に成功

強磁性薄膜ヘテロ構造におけるスピン軌道トルクを、磁気光学効果を利用して観測することに成功した。ヘテロ構造に電流を流した際に磁化に作用するスピン軌道トルクを定量評価し、他のアプローチとの比較を行い、良い一致が得られた。

Optical Detection of Spin-Orbit Torque and Current-Induced Heating
Y. Marui, M. Kawaguchi, M. Hayashi
Appl. Phys. Express 11, 5 093001 (2018).
2018年8月20日

廣瀬さんが「最優秀発表賞」を受賞しました!

廣瀬さんが第63回物性若手夏の学校で「最優秀発表賞」を受賞しました。
おめでとうございます!
2018年7月27日

カイラル磁気構造の磁壁抵抗

カイラル磁性を示すヘテロ構造における磁壁が有する抵抗を調べた。当初予想に反して磁壁の構造に関係ない磁壁抵抗が観測された。異常ホール起因の磁壁抵抗に加えて、カイラル磁性が誘起する抵抗が関与している可能性が示唆される。
*電通大仲谷研との共同研究の成果。

Domain-Wall Resistance in Cofeb-Based Heterostructures with Interface Dzyaloshinskii-Moriya Interaction
Y. Ishikuro, M. Kawaguchi, Y. C. Lau, Y. Nakatani, M. Hayashi
Appl. Phys. Express 11, 5 073001 (2018).
2018年6月06日

Co/Ptにおける異常スピンホール磁気抵抗

Pt/Co2層膜におけるスピンホール磁気抵抗を調べた。Coの膜厚が増えるに従って、磁気抵抗が増加し、従来のスピンホール磁気抵抗理論では説明できない結果が得られました。
*東北大との共同研究の成果です。

Anomalous Spin Hall Magnetoresistance in Pt/Co Bilayers
M. Kawaguchi, D. Towa, Y. C. Lau, S. Takahashi, M. Hayashi
Appl. Phys. Lett. 112, 5 202405 (2018).
2018年5月16日