半金属薄膜と金属薄膜からなるヘテロ構造に円偏光を照射し、円偏光の旋回性に依存する光起電流の成分「偏光依存光起電流」を調べた。ヘテロ構造では、偏光依存光起電流が半金属単層膜と比較して大きく増大することがわかった。半金属層の膜厚や光の入射角度に対して偏光依存光起電流を調査した結果、半金属/金属界面特有の電子状態(スピン吸収)が偏光依存光起電流増大に寄与していることがわかった。ディラック型の電子構造を持つとされる半金属における非線形光学効果は未解明な物理が多く、今後の展開に期待。
*東北大高梨研、ドイツのPeter Grünberg Instituteとの共同研究の成果。
Interface-enhanced helicity dependent photocurrent in metal/semimetal bilayers
H. Hirose, M. Kawaguchi, Y.-C. Lau, Z. Chi, F. Freimuth, K. Takanashi, M. Hayashi
Phys. Rev. B 103, 174437 (2021).
Cu/Biからなる2層薄膜において、円偏光の旋回性に依存した光電流を検出した。光起電流は光の入射角に依存し、入射面と直交する方向で大きな信号が観測された一方、平行方向では観測されなかった。観測された光電流は、Cu/Bi界面にスピン・運動量結合バンドが存在することを示唆している。
Circular photogalvanic effect in Cu/Bi bilayers
H. Hirose, N. Ito, M. Kawaguchi, Y. C. Lau, M. Hayashi
Appl. Phys. Lett. 113, 222404 (2018).