光・スピン相互作用

光はスピン角運動量と軌道角運動量をもっています。右回りと左回りの円偏光がそれぞれ正と負のスピン角運動量を有しています。 光の軌道角運動量は「光渦」という特異な光の偏光状態でのみゼロでない値を持ちます。 光を物質に照射すると、光が持つ角運動量を物質に転写することができます。 例えば右回りの円偏光をGaAs等の半導体に照射すると、角運動量の保存則から特定の方向を向いたスピンを持つ電子を価電子帯から伝導帯に励起できます。

スピン角運動量を持つ円偏光を物質に照射すると他にも様々な効果が発現することが知られています。 特に物質に特異な電子状態が存在する場合、興味深い効果が誘起されます。 例えばスピン軌道相互作用が大きい物質を含む界面・表面などに円偏光を斜めから照射すると、光の入射方向と直交する方向に電流が流れることが知られています。 これはフォトガルバニック効果と呼ばれ、一見太陽電池のように見えますが、pn接合などがなくても電流が流れるなど、その性質は大きく異なります。 最近ではトポロジカル絶縁体や2次元層状物質などでもフォトガルバニック効果が観測されており、物質の特異な電子状態を検出する手法としても有効です。

フォトガルバニック効果を描いた図。円偏光照射によってスピン分極した電流が誘起される様子を模式的に表した。挿入図はフォトガルバニック効果信号の測定結果。(参照: Scilight.)

関連する文献
Circular photogalvanic effect in Cu/Bi bilayers
H. Hirose, N. Ito, M. Kawaguchi, Y. C. Lau, M. Hayashi
Appl. Phys. Lett. 113, 222404 (2018).