人工反強磁性体において表面弾性波の大きな非相反伝導を観測
波の進む向きによって振幅が異なる現象を「非相反伝導」と呼ぶ。表面弾性波は物質中を伝搬する音波の1つで、速度数km/s程度で伝播する。人工反強磁体の中を伝播する表面弾性波を調べたところ、右と左に伝播する波の大きさが異なることがわかった。人工反強磁性体は非磁性薄膜を2つの強磁性薄膜で挟み、強磁性層の磁化が反平行となる構造を持っている。表面弾性波が人工反強磁体の中のスピン波と相互作用し、非相反伝導が誘起されていると考えられる。
Large surface acoustic wave nonreciprocity in synthetic antiferromagnets
H. Matsumoto, T. Kawada, M. Ishibashi, M. Kawaguchi, M. Hayashi
Appl. Phys. Express 15, 063003 (2022).